2016年を象徴する海外ドラマと言えば【シリコンバレー】だっ!
2016/09/16
◇ドラマ【シリコンバレー】と比較されるべきなのは、オタクが主役の【ビッグバンセオリー】ではなく、伝説的お洒落ドラマ【セックス・アンド・ザ・シティ】なのだ!<ライター・こも>
2016年を象徴する海外ドラマと言えば、【シリコンバレー】だろう。アメリカでは昨年度から公開されているため、日本では一足遅れとなるが、それでもこの新しさと楽しさは本邦初であるし、今見なければいつ見るの!という旬な勢いに溢れている。
このドラマの舞台はタイトルからも分かるとおり、アメリカの西海岸、カリフォルニア州にある都市・シリコンバレーだ。サンフランシスコからもほど近く、気候が温暖なこの街は今アメリカで最も「カッコ良い」とされているらしい。
10数年前に「カッコ良い」象徴であった【セックス・アンド・ザ・シティ】の舞台はNY。あれからアメリカは…、いや、世界は変わった。今やNYは最先端ではないのだ。街はドラマの舞台に選ばれるような魅力を失い、街を闊歩する大勢のキャリーたちは、インスタグラムに画像をアップするのが趣味の、能無しだと揶揄される存在に変わった。
とは言え、【シリコンバレー】にあるのは、【セックス・アンド・ザ・シティ】に見えたお洒落さではない。そこにあるのは現実と、資本と、巨額の金だ。【シリコンバレー】に生きる若いエンジニアたちは、目の前にプールされている巨額の金をなんとか得ようともがいている。
その必死な姿は、時におかしく、時に切ない。腹を抱えて笑ったかと思うと、当事者だったら腸が煮えくり返りそうな事態にヤキモキする。よくもまあ、というほど面倒なことが次から次へと起こって、息をつく暇がない。
だがそんな状況にあっても、彼らは現代の「カッコ良い」を体現しているのだ。【セックス・アンド・ザ・シティ】にあったような「物質的な豊かさ」や「ゆとり」は微塵も感じられないが、それでもだ。これは【セックス・アンド・ザ・シティ】の後候補だと言われいる、これもまた新世代のドラマ【GIRLS】を見ても分かる。このドラマでも、ITで成功した若者のライフスタイルが最も「カッコ良い」とされているのだ。
外見でいえば、誰も彼も一様に鈍臭く、カッコ良いとは真逆である」彼ら。何故彼らがそんなに「カッコ良い」のか。その答えは簡単だ。彼らが神にも似た仕事を手がけているからである。たった一つのアプリ、たった一つのシステムを生み出されることで、世界が変わる…そんな時代に生きている我々は、それらを「生み出してくれるかもしれない彼ら」にとんでもない希望を抱いているのだ。
だからこそ、今にも海を割るかもしれない彼らの一挙手一投足を息をつめて見守ってしまうのである。彼らが困難に陥るほどに、苦難を乗り越えて世界を変えてくれ!と願ってしまうのだ。
そんな世界に生きる我々は、もしかしたら不幸なのかもしれない。でも、だとしても、今年こんなに面白い海外ドラマに出会えたことは幸運であろう。
今年このドラマを見なければ、面白いことを一つ逃してしまうよ、と言いたいくらいオススメである。ただ、過激な下ネタが多いので、下ネタ嫌いの人に無理強いはしないが。
シリコンバレーはHuluから楽しめる。ぜひチェックしてみてほしい。
<ライター・こも>